2015年3月29日日曜日

平成27年3月6日舛添都知事定例記者会見について

私たち<霞ヶ丘アパートを考える会>は、舛添都知事に対して要望書を2月25日に提出しました(注1)。その後、3月6日に定例記者会見の席で永尾俊彦さん(ルポライター)が要望書を踏まえて都知事に質問を投げかけました(注2)。

都知事の回答には納得できない点が多く、私たちは考え直していただきたいと思っています。

1、都知事は要望書に付された住民の声をきちんと認識されたのでしょうか?
記者会見の内容からは、要望書に付された説明会質疑応答における住民の声を読まれたとは思えません。また、要望書提出の際に秘書担当課課長に説明したことが伝わっているとも感じられません。都知事は、担当の局が「しっかり丁寧に要望を聞いて、丁寧に対応して、その結果を知らせるということをやっております」と述べています。しかし、要望書の資料は、担当の都市整備局の対応の不足を示し、都知事への結果報告を正すために付したものです。都知事自ら目を通して霞ヶ丘アパートの状況を理解していただきたいと思います。

2、都市整備局の意向調査(注3)は住民の移転希望ではありません
都知事は、整備局の意向調査を元にして「圧倒的多数の方が、もう、次どこに行くという意向も示されている」とおっしゃっています。しかし、この意向調査がそのまま住民の移転希望にはならないことは要望書にも書いたとおりです。この意向調査には、<移転したくない>という選択肢はありません。回答の中には、あくまでも仮に移転するとしたら(移転せざるえないとしたら)という留保があることを勘案すべき調査です。さらには、2014年11月19日説明会で都は「申し込みではなくて、どういう場所のどんな間取りなどがいいのか、を大まかに知りたいので軽い気持ちで答えていただいて結構です」と言っています。軽い気持ちで答えた結果、移転したくないという選択肢がないので仕方なく答えた結果が、移転希望にすりかえられています。

3、稲葉奈々子研究室のアンケート(注4)は信用がおけるものです
都知事は、稲葉アンケートについて「回収率は極めて低い」という理由で取りあわないような姿勢でした。しかし、このアンケートは整備局の調査に比べ適正な選択肢があり誘導的な設問もありません。また、自由回答で多くの貴重な意見が集められています。都知事が考慮しないのは不公正です。稲葉准教授に都知事会見内容についてお尋ねしたところ「25%は低いとはいえません。ちゃんとした社会調査と統計の勉強をした研究者ならば知っているはずです。8割、9割回収できるアンケートなど、よほどの顔見知りで、コミュニティとか会社組織などで協力を依頼されたある程度の強制力が働くような組織でなければありえません。霞が丘アパートでのアンケートは信頼に価する回収率です」とのことです。

都知事は回答の最後で「今のところは、私は予定どおり進めようと思っております」と述べました。説明会の中で住民の方からは「ずっといるよ。火つけて焼いてくれて結構。本当よ、そういう気持ちだもん」という言葉がありました。「今のところ」という都知事の言い方の中には、違う状況になれば予定どおり進めない、という柔軟な可能性も示されていると思います。「ここまで進んでいるから」と押し通すことは民主主義の社会の在り方ではありません。真摯に再考することを求めます。

注1 要望書 http://goo.gl/xPoN7c
注2 知事定例記者会見(3月6日) http://goo.gl/b4JUNF
注3 最終移転に関する説明会開催のお知らせ、に付された意向調査表(2014年10月24日東京都全戸配布) http://tinyurl.com/py4cshv
注4 茨城大学人文学部稲葉奈々子准教授の研究室によるアンケート(実施2013年6月~) http://tinyurl.com/qzgavop